学費、生活費、持ち家を買うため、子育て資金・・・何かとお金がかかる30代40代。親から資金援助を受けることもあるでしょう。そんな時に気になるのは贈与税。どうしたら贈与税がかからずに親からお金がもらえる?そんな疑問にお答えします。
親から賢くお金をもらおう
贈与税がかからない方法とは?
2020年7月6日



贈与税はいくらもらうとかかる?
贈与税は、1月1日~12月31日の1年間に個人からタダでもらったものの金額の合計額が110万円を超えるとかかります。
贈与税がかかるのは、お金だけに限りません。家や土地、車、貴金属、株式などもかかります。
贈与税の計算方法と申告
計算方法
贈与税の計算方法は、1年間にもらった金額の合計額から110万円を差し引き、残りの金額に税率をかけて計算します。
贈与税の税率は、
① 1月1日時点で20歳以上の人が親や祖父母から贈与された場合
② ①以外の場合
で異なります。
上の世代から下の世代へお金を渡すことで、下の世代にお金を使ってほしいという理由から、①のほうが贈与税が安くなります。
<① 1月1日時点で20歳以上の人が親や祖父母から贈与された場合>
もらった金額から110万円を差し引いた金額 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
<② ①以外の贈与の場合>
もらった金額から110万円を差し引いた金額 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
※出典:国税庁ホームページ
例えば、20歳以上の人が親から500万円もらった場合の贈与税は
500万円-110万円=390万円
→①の表より「400万円以下」に該当するため、税率15%と控除額10万円をあてはめます。
390万円×15%-10万円=48万5,000円が贈与税になります。
贈与税の申告と納付
1年間にもらった金額の合計額が110万円を超える場合には贈与税の申告をし、贈与税を納める必要があります。
贈与税の申告は、贈与でお金やモノをもらった年の翌年2月1日~3月15日の間に税務署へ申告書を提出する必要があります。
贈与税は、税務署から納付書を取り寄せて税額や住所氏名を記載し、申告書の提出と同じく翌年2月1日~3月15日の間に最寄りの金融機関などで納付します。
こんなものには贈与税はかからない
贈与税は、
・親や祖父母など扶養義務者からの生活費、学費、結婚・出産子育て費用など
・香典、お祝いやお見舞いなど(社会通念上相当な金額)
にはかかりません。
生活費、学費、結婚・出産費用などで贈与税がかからないのは、必要な都度もらう場合に限ります。したがって、例えば1年分の生活費や数年分の学費など、まとめて年間110万円を超えてもらう場合には贈与税がかかりますので、もらい方には十分に気を付けましょう。
ただし、学費や結婚・出産子育て費用については、一定の要件に当てはまる場合にはまとめてもらっても非課税になります。次で詳しく紹介します。
贈与税が非課税になる特例
親から子、祖父母から孫への贈与については、年間110万円を超える贈与であっても贈与税が非課税になる特例があります。
1.住宅取得資金の贈与を受けた場合
親または祖父母からお金をもらって住宅を新築・購入・増改築をした場合には、もらったお金のうち一定額までは贈与税が非課税になります。
非課税になる金額は、住宅の新築工事や購入の契約年月日・住宅の性能・適用される消費税率などによって異なります。2020年中に工事または購入の契約をした住宅については、最大3,000万円まで贈与税の非課税枠があります。
住宅取得資金贈与の非課税の特例を受けるには、
・ お金をもらった人が、もらった年の1月1日時点で20歳以上であること。
・ お金をもらった年の翌年3月15日までにもらったお金をすべて充てて住宅を取得し、同年12月31日までに住んでいること。
・ 住宅の床面積が50㎡以上240㎡以下であること。
・ 中古住宅は築20年以内(鉄筋コンクリート造などの耐火建築物は築25年以内)であること。
など、いろいろな要件があります。詳しくは国税庁ホームページで確認しましょう。
2.教育資金の一括贈与を受けた場合
親または祖父母から教育目的としてお金の贈与を受ける場合には、1,500万円まで贈与税の非課税枠があります。この制度は、子や孫に直接お金をあげるというのではなく、金融機関に子や孫名義の専用の口座を作り、そこにお金を預けます。お金を引き出すには、金融機関に領収書などの書類を提出する必要があります。
教育資金とは、学校などに直接支払われる学費などです。ほかにも学習塾や習い事、留学の渡航費なども教育資金に含まれますが、これらの非課税枠は500万円までになります。この制度は、30歳までに贈与されたお金を使い切る必要があります。もし使い切れなかった場合には残っている金額に対して贈与税がかかりますので注意が必要です。詳しい内容は、国税庁ホームページをご覧ください。
3.結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合
親または祖父母から結婚・出産・子育てにかかるお金の贈与を受ける場合には、1,000万円まで非課税の非課税枠があります。このうち結婚費用として使える金額は300万円までです。
この制度は、子や孫に直接お金をあげるというのではなく、金融機関に子や孫名義の専用の口座を作り、そこにお金を預けます。お金を引き出すには、金融機関に領収書などの書類を提出する必要があります。
この制度は、50歳までに贈与されたお金を使い切る必要があります。もし使い切れなかった場合には残っている金額に対して贈与税がかかりますので注意が必要です。
詳しい内容は、国税庁ホームページをご覧ください。
まとめ
生活にいろいろとお金がかかる若い世代にとって、親や祖父母からの資金援助が非課税になるのは非常にありがたいことです。
これらの制度を受けるためには、いろいろな要件があります。しっかり確認して賢くお金をもらいましょう。
(※本ページに記載されている情報は2020年6月17日時点のものです)