あなたは、自分の親がどこの銀行を利用しているか知っていますか。
親が若いときは、親の銀行口座のことを考える機会はなかなかないもの。
しかし、親が高齢になってくると、病気といった健康上の問題などで親の銀行口座からお金を引き出す必要に迫られるケースがあります。
家族の銀行口座からお金を引き出すためには、どのような手続きが必要でしょうか。
家族の銀行口座にまつわる基礎知識についてご紹介します。
家族の銀行口座からお金を引き出すためには委任状が必要!?
2019年1月16日
親の入院でかかったお金はどうする?
銀行口座からお金を下ろすとき
大事な家族である親には、いつまでも元気でいてほしいものですね。しかし、あまり考えたくないことではありますが、急な病気やケガで親が入院してしまう事態に直面してしまう人はいます。
そのときに必要となるのが、入院費などのお金の用意です。入院費のほかにも入院で必要となる物品の買い物もあり、親の銀行口座からお金を下ろす必要があるかもしれません。
そんなとき、親子とはいえ子どもが勝手に親の銀行口座からお金を下ろせるのだろうかと心配になりますよね。ATMからお金を下ろす方法であれば、親から暗証番号を伝えられた上での親の意思による引き出しということになり問題はありません。
ATM引き出し限度額の問題
ただし、ATM利用の際には引き出し限度額の注意が必要です。限度額は銀行毎に設定されており、50万円であったり100万円であったりします。
キャッシュカードなのかICキャッシュカードなのか、あるいは身体認証があるICキャッシュカードなのか、ないICキャッシュカードなのかによっても限度額が変わります。
また、利用銀行のATMからなのか、提携金融機関やコンビニのATMから引き出すのかによって上限額が変わる場合もあります。提携金融機関やコンビニ利用の場合には限度額が下がるケースが一般的です。
カードによる引き出し限度額は変更可能ですが、あまり高額にしておくと盗難被害への備えの面で不安が増してしまいますよね。
窓口での引き出しはどうなる?
本人確認が厳しくなっている
ATMに引き出し限度額がある、あるいは親がキャッシュカードをつくっていなかったなどの理由で、親のお金を引き出すために銀行窓口を利用しなければならないときもあります。しかし、窓口を利用するときには本人による引き出しが原則となっています。
通帳盗難被害が考えられるほか、不正送金の事件が増加している社会情勢という背景もあり、窓口での本人確認対応が以前に比べて厳しくなっているのです。
銀行による本人確認の厳しさは「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に基づいています。通帳と印鑑を持参するだけでは、本人以外の人はお金を引き出せません。
委任状と本人確認書類を持参
配偶者や親などの代わりに窓口でお金を引き出したいときは、委任状と本人確認書類を持参する必要があります。委任状は金融機関のサイトで簡単にダウンロードできます。
本人確認書類とは、運転免許証やパスポート、個人番号カードなどのことをいいます。顔写真のない公的書類の場合は、ほかの本人確認可能な公的書類が追加で必要です。
委任状には住所、氏名、支払金額などを記載します。口座名義人である家族の確認書類も必要です。
子どもの場合と、そのほかの家族の場合
とはいえ、未成年である子どもや孫の通帳を親や親権者が管理しているケースは少なくありません。その場合は、親子と証明できる確認書類を提示すれば問題なく手続き可能です。
子どもや孫が成人した場合は、代理人届や委任状の提出が必要となります。また、成人となった子どもの新規口座開設には、本人による手続きが必要です。
そのため、子どもに内緒で口座をつくっていた場合でも、子どもが成人したときには口座について知らせる必要が出てきます。どうしても知らせたくない場合は、名義を親に戻すなどの対応が必要です。
注意しておきたいこと
家族とはいえ証拠を残しておきたい
親のために親の銀行口座からお金を下ろすのは自然な行為と思えます。しかし、お金にかかわる処理は、後のトラブルを防ぐために慎重に行っておきましょう。金額が大きいときは特に注意が必要です。
たとえば、ほかの兄弟がかかった金額を確認したいと申し出たときに説明できるよう、病院などの領収書をしっかり残しておきます。1回1回は大した金額でないと思えても、結果的に大きな金額に膨らむという可能性もないわけではありません。
何のためにお金を引き出したかを明らかにできるようにしておくと、親やほかの家族に不信感を抱かせるような無用なトラブルを防げるのです。また、自分で立て替えてしまった場合でも、領収書を残しておけば兄弟で分担するときなどに役立つでしょう。
とっさのときの磁気不良トラブル
ATMで引き出す分には問題ないと思っているケースの場合、磁気不良トラブルに注意が必要です。
ATMで、いざ引き出そうとしたときに磁気不良でキャッシュカードが使えなかった場合、窓口での引き出しに変更しなければならなくなります。しかし、本人確認書類や委任状がないと引き出せないため、出直す手間が発生するかもしれません。
なお、ICキャッシュカードの場合は、磁気不良を自動修復してくれるATMを導入している金融機関もあります。
大きな病院ではクレジットカード支払いの導入が進みつつありますが、中規模、小規模の病院や診療所では現金払いのみとなっているケースも見られます。また、入院に限らず親が足を悪くした場合など、親の銀行口座からお金を引き出したいというときはあるものです。いざというときに慌てないために、今回の知識をぜひ役立ててみてください。