会社員から独立起業する際、どれくらいお金が必要なのか考えると思います。しかし、会社員の場合、社会保険料や税金はお給料から天引きされ、どれくらい支払っているのかあまり意識していないものです。今回は、会社員が見逃しがちな起業の際のお金の話をしたいと思います。
起業女子になるための、
その前に考えておきたいお金の話
2019年11月27日
1.考えておくべきお金
起業する前に考えておかなければいけないお金には、以下のようなものが挙げられます。
経費
会社員の場合も仕事で外出すれば交通費を、お客様と食事をすれば交際費を「会社の」経費として精算しますが、起業した場合はそれらがすべて自分の経費として掛かってきます。
普段は意識していませんが、コピー代、電話代、オフィスの賃料、事務用品代なども挙げられます。
起業して新たに必要になるものとしては、起業する場合は何らかの専門家になると思いますが、その専門業界の協会会員になって、勉強会やセミナー、異業種交流会などに参加する会費も必要になってきます。
商品を扱う仕事であれば、原材料費、保管料などももちろん考慮しなければいけません。
税金
会社員の時は所得税、住民税が給与天引きになっていて、引かれてから手取り給与を見るので意識していないかもしれませんが、どれくらい支払っているのか起業する前に必ず確認しておいてください。税金は必ず払わなければいけない、頭に入れておかなければいけないお金です。
個人事業主として起業する場合には、今までの個人として所得税、住民税の他に、売上高や所得に応じて消費税、個人事業税がかかってきます。従業員を雇う場合は源泉所得税を徴収し、本人の代わりに納付します。
法人化した場合は、法人税、法人住民税、法人事業税がかかります。法人住民税と法人事業税はたとえ利益が0であっても毎年納めなければいけないので、注意が必要です。そして、個人事業主の場合と同様に、売上高に応じて消費税がかかりますし、従業員を雇う場合は源泉所得税を徴収し、本人の代わりに納付します。
社会保険
社会保険料も税金と同様、会社員の場合は給与天引きされていますが、どれくらい支払っているのか確認しておいてください。
個人事業主の場合は国民年金、国民健康保険になります。法人の場合は原則として厚生年金、健康保険になります。年金に関しては、支払う保険料の他に、将来の受取額も考えてください。ずっと会社員で厚生年金であった場合の年金見込み額と、起業して途中から国民年金に切り替えた場合の年金見込み額を計算してみましょう。その収入の差額は事前に貯金などで備える必要があります。
会社員の時は雇用保険があり、失業した時には基本手当が給付されましたが、起業した場合にはこれがなくなります。逆に、自分が従業員を雇った場合は、従業員に対して雇用保険、労災保険に加入しなければいけません。
保険
保険の目的は、万が一の時の支出が自分の貯金で賄えない時の補てんです。会社員の時は病気やケガで休んでも有休があり、労災や傷病手当金の給付があり、失業すれば雇用保険の基本手当がありますので、保険に頼らなくても何とか賄えたかもしれません。
しかし起業すると、仕事をしなければ収入は0になります。必要に応じて所得補償保険を検討し、新たにその保険料が必要になるかもしれません。
また、顧客とトラブルが起こった場合、責任を取るのは自分です。そんな時のために賠償責任保険も必要になってきます。
2.備えと対策
このように、起業には意識しなければいけないお金がいろいろあることがわかりましたが、これらのお金に対して、どのような対策を取っておいたらいいでしょうか。
実際に起業している人に話を聞く
一番いいのは、実際に起業している人に聞くことです。自分と似たような属性の人の方が参考になりますし、事前に考えていたのと実際に起業してからとの違いなども聞いてみるといいと思います。
まずは小さく起業
できれば最初は副業として始めるのが安全です。会社員としての安定収入があるうちに、事業自体にどれくらい経費が掛かるかを計算し、会社を辞めた場合の社会保険料や税金を計算し、それでも十分な売り上げが見込めそうであれば会社を辞めて個人事業主となりましょう。そして、さらに稼げるようになったら法人化する、というように段階を踏んだ方が失敗しないで起業できます。
貯金できる仕組みを作る
起業すると収入が安定しませんし、働けなくなった場合や老後にも備えなければいけません。
上述しましたが所得補償保険を検討したり、厚生年金から国民年金に切り替わって年金額が少なくなる分は国民年金基金やiDeCoなどを考えてみましょう。
以上、起業の際には、十分に時間をかけて調べて、様子を見ながら進めることを心がけてください。
(※本ページに記載されている情報は2019年11月27日時点のものです)