2年間お付き合いした彼氏にプロポーズされ、20代のうちに結婚したいという夢が叶いそうなT子さん。しかし6年も会社員をしていながら、貯金が100万円程度しかないことに気がついた様子。結婚費用や結婚後の生活に向けた話が彼の口から出る度に、罪悪感を持ってしまうと言います。 結婚費用の一部は親に頼るとしても、まずは結婚するまでに急いでお金を貯めたいと焦っています。そこで、T子さんの家計簿をチェックして改善点を探ります。
【FP家計簿チェック】28歳、正社員女子。彼にプロポーズされましたが貯金はなし。急いで貯めるにはどうしたらいいですか?
2019年6月14日
今回の相談者は、シングル女子T子さん
T子さん(28歳)のプロフィール
- ・独身
- ・一人暮らし(3年前から)/地方都市在住
- ・年収350万円/手取り月収20万円、ボーナス40万円
- ・貯金100万円/普通預金と定期預金
営業職として働く会社員のT子さん。3年前まで実家で暮らしていましたが、給料が少し上がったのを機に憧れの一人暮らし。社交的な性格で、友人・知人と食事やショッピングに行くのが大好き。新しい店ができれば真っ先に行くタイプ。
でもそれが人の輪を広げ、営業の仕事にも役立っているメリットも。
T子さんの家計簿をチェックしてわかったこと
ショッピングや友人と出かけるのが好きだとはいえ、働き始めて6年。3年前までは実家暮らしをしていた割には貯金が100万円程度しかないT子さん。
お話によると、実家暮らしの際は今よりは貯金できていたけれど、引越し費用や家具・装飾品類、家電などの購入で貯金から100万円近くのお金を使ったとか。一人暮らしになってからは、毎月貯金できる金額は減ったものの、毎月1.5万円~2万円程度は口座に残るし、貯金の額をあまり意識したことがなかったと言います。
結婚という憧れが現実になりそうな今、あらためて貯金の額を見直してみると100万円程度しかないことにがく然としたというご相談です。
そこで早速、T子さんの家計簿を拝見しました。
「家賃」「光熱費・水道代」の2つの必須固定費は理想とされる家計比率にほぼ納まっており、一見バランス良く家計の切り盛りをしているように見えます。
しかし他の費目を1つ1つチェックしていくと、まずは「雑費」の8千円と「趣味・お小遣い」の2万円が気になります。なんでも、友人や彼氏と出かけるのが好きで、お店で目に入ったインテリアオブジェや生活の便利グッズなど、いいなと思えばすぐに買ってしまうそう。
また、交際費はほぼ外食代。すぐに友人ができるT子さんはお誘いも多く、月に3~4回は友人と外食に出かけます。では食費の3万円は?というと、コンビニ弁当やスーパーでお総菜を買うことが多いと言います。自炊をしないことはないけれど、仕事で疲れてキッチンに立ちたくないときが多く、たまの自炊ではかえって不経済……と、今では彼氏が遊びに来る時にするくらいに減っているようです。
車関連の出費は自動車保険と駐車場代、およびガソリン代です。地方都市に住むT子さんは公共交通機関を使えなくはないけれど、営業という仕事柄、車があった方が都合はいいとのことで今後も車生活は続ける予定です。
貯金目標は1年間で100万円!
今回のT子さんのご相談は、お金の使い方を見直して、結婚までにできるだけ貯金をすることです。結婚の希望は来年とのことですが、貯金のことでズルズルと延びてしまうことがないように、具体的な期間と金額のターゲットを決めておくのがおすすめです。ゴールまでの進捗状況が月々わかりますから、ムダな買い物も減るでしょう。
そのためには、結婚資金の相場を知っておくことも大切です。
「ゼクシィ結婚トレンド調査2018」によると、結納・婚約から新婚旅行までにかかった費用の総額の平均(推計値)は488万円。このなかには挙式・披露宴などの費用以外に仲人へのお礼や両家の顔合わせ費用、婚約指輪なども含まれていますから、結婚のスタイル・お金のかけ方などによって変わります。
それでもこの金額をベースにし、仮に新郎・新婦で折半とするとT子さんの負担分は250万円弱になる計算です。それに新生活にかかる費用も含め、300万円~350万円は予定しておきたいところ。半分は親から援助してもらうとしても、T子さん自身で150万円~200万円を用意できれば安心です。
現在100万円の貯金があるということですから、これからさらに1年間で100万円貯めることを目標に決め、貯金していきましょう。
FPのアドバイス
まずは強制的に貯めること
これまで、あまった給料をそのまま普通預金に入れておき、時々、定期預金に預け直すという貯金スタイルを取っていたのも貯金が出来ない理由のひとつです。
本気で貯めようと思ったら、毎月貯金に回す金額を決め、強制的に貯金するのが鉄則です。
1年間で100万円貯めるためには月々8.3万円程度を貯金に回すことが必要ですが、一人暮らしのT子さんには決して簡単な金額ではありません。幸いボーナスは夏冬合わせて毎年40万円程度は出ることのことですから、少しはご褒美出費に残してほぼ全額の35万円を貯金します。
また、結婚前の断捨離も兼ねて、これまで買ったけどあまり使っていない洋服や小物類をメルカリなどで売却。10万円は確保できそうです。
それを踏まえて計算すると、月々の貯金額は4.6万円になりました。
1年後に使う予定の貯金は「元本確保・流動性」を考えて
給料を使う前に先取り貯金する方法として、財形貯蓄や積立定期がありますが、1年後に払い出しできるということも考えて貯蓄商品を選びましょう。一般財形は積立開始から1年間を経過するといつでも払出し可能です。積立定期預金では目標日を設定して毎月積み立てていくタイプの商品もあります。
家計見直し
貯金を増やす分、支出を減らさないといけません。一般的には固定費を削減するのが節約効果は高いと言われますが、T子さんの場合、約1年後には今の賃貸住居を引き払うことが考えられますから、当面まではそのままにしておきます。
また、結婚まで約1年ですから、これ以上モノを増やさないことを誓い、被服費や雑費を削減。
貯金額を3.1万円増やすために、T子さんが最も大きな決意をしたのが携帯電話代。格安SIMに切り替えをすることで8千円の削減です。
外食の回数も減らし、友人とはホームパーティーに切り替えることを提案。そうすることで自炊が増え、自然とコンビニでの買い物も減るでしょう。
ただ、これまで医療保険に加入していませんでしたが、最低限の医療保険に加入をおすすめしました。これから結婚に向けた女性は妊娠やそれにまつわる身体の変化が起こりやすくなる人もいます。妊娠してからでは加入できてもすべての保障を得られないこともあるため、事前の加入がおすすめです。T子さんも家計見直しのこの機会に加入を検討することになりました。
今回の家計簿チェックでT子さんへの家計簿見直し提案はこのようになりました。
1年間で100万円貯めるという大きな目標に向かって家計見直しを決意したT子さん。家計管理が上手になったその際にはパートナーとの2人の家計管理が待っています。新生活が始まる前に、どんな生活をしていきたいか、家計管理はどうするかなど、パートナーとしっかり話し合い、お互い協力し合うことも大切です。