新型コロナウイルスの影響で、残念ながら失業してしまったり、失業の不安があったりする人も多くいらっしゃるでしょう。失業したら税金や社会保険料の支払いはどうなる?猶予や免除はあるの?という疑問についてお答えします。
もしコロナの影響で失業したら税金や
社会保険料の支払いは?猶予や免除はある?
2020年9月28日
税金の支払いは?
働いていたときの給料に対する税金が、退職後にかかることがあります。税金によって扱いが異なるので見ていきましょう。
所得税
年の中途で退職した場合、年内に次の職場が決まるかどうかで手続きが異なります。退職した会社から年末調整をしていない源泉徴収票が渡されますので、なくさないようにしましょう。
①年内に次の職場が決まった場合:
次の職場の給料と一緒に年末調整するため、特に手続きは必要ありません。年末調整の際、前の職場の源泉徴収票を忘れずに提出しましょう。
②次の職場が決まらない場合:
次の職場が決まらない場合は、翌年確定申告をする必要があります。会社より渡された源泉徴収票をもとに税金を計算します。
計算された税金よりも天引きされた源泉所得税が少ない場合は差額を納付し、多い場合は差額が還付されます。
③退職金をもらった場合:
退職金をもらった場合、会社より「退職所得の受給に関する申告書」という書類が渡されます。それに必要事項を記入すると会社で所得税・住民税を計算して退職金から差し引かれるため、基本的には確定申告をする必要はありません。
住民税
失業してやっかいなのが住民税です。住民税は、前年分の所得を基に計算され、サラリーマンの場合は6月~翌年5月に12分割して毎月給与から天引きされます。退職した場合の住民税は、退職した月によって扱いが異なります。
①6/1~12/31に退職した場合:
退職月までに納付する住民税は給与から天引きされ、翌月分~翌年5月納付分は自分で納めるか、一括で給与から天引きしてもらうかを選択します。自分で納める場合には、税額はお住まいの自治体で計算し納付書が送られてくるのでそれを持って現金で納めます。
②1/1~5/31に退職した場合:
退職月~5月納付分までの住民税が、退職月の給料から天引きされます。例えば令和2年7月に退職し、翌月以降の住民税は自分で納付する場合、令和元年の所得を基に計算された令和2年8月~令和3年5月納付分の住民税の納付書が送られてくるので、自分で直接支払います。
また、令和2年1月~7月の給料にかかる住民税は、令和3年6月ごろ納付書が送られてくるので、こちらも自分で直接支払います。特に退職した翌年に支払う住民税は、忘れたころにやってくるので気を付けましょう。
社会保険料の支払いは?
退職したら会社の社会保険から抜けることになるため、なんらかの手続きを自分でする必要があります。
健康保険
健康保険は、①国民健康保険への加入、②任意継続、③家族の扶養になる、の3つがあります。
①国民健康保険への加入:
会社からもらう「健康保険資格喪失証明書」など必要書類を持ち、お住まいの自治体の役所の健康保険窓口へ行きます。
国民健康保険の金額は、前年度の世帯年収と世帯加入人数により計算され、料率は自治体により異なります。保険料は前年の源泉徴収票を用意して役所に聞けば計算して教えてくれるので、気になる人は事前に確認しておきましょう。
②任意継続:
「任意継続」とは、退職前に会社で加入していた健康保険に引き続き加入することです。保険料は、会社にいた時は会社と自分と折半でしたが、任意継続は全額自己負担になります。
任意継続の方が①よりも保険料が安い場合がありますので、ぜひ比較検討してみましょう。任意継続は退職後20日以内に手続きすると、最大2年加入できます。詳しくは会社の健康保険組合に確認してみましょう。
③家族の扶養になる:
退職後すぐに就職しない場合は、配偶者または親の扶養になることも考えられます。扶養されている場合、自分の社会保険料は発生しません。扶養になるには年収130万円未満などの要件があるので、家族の加入する健康保険組合へ確認してみましょう。
年金
年金には任意継続の制度がないため、国民年金に加入するか、または家族の扶養になるかを選択します。国民年金に加入する場合、年金手帳等の必要書類を持ってお住まいの自治体の年金窓口で手続きします。
納付の猶予や免除はあるの?
新型コロナウイルス感染症の影響により納付が困難な場合、次のような猶予制度があります。
納税の猶予
令和2年2月以降、どこかの期間で1ヵ月以上にわたって前年の同じ期間に比べて収入がおおむね20%以上減少している場合などに、所得税や住民税の支払い猶予を1年受けることができます。
コロナ禍の猶予については、延滞税はかかりません。支払が厳しい人は、所得税は国税局猶予相談センター、住民税はお住まいの自治体に相談してみましょう。
☞ 納税猶予の詳しいパンフレット:国税庁ホームページ
国民健康保険料
コロナの影響で前年に比べて3割以上の収入の減少が見込まれる世帯については、国民健康保険料の減免があります。
主に生計を維持する人の前年所得によって減額割合は異なり、多くの市町村が所得300万円以下の世帯について、令和2年度分の保険料を全額免除にすることを決めています。詳しくは、お住まいの自治体の国民健康保険課へお尋ねください。
国民年金保険料
国民年金保険料は、令和2年2月以降収入が下がり、納付の猶予や減免の条件を満たす所得基準になることが見込まれれば、免除または減額を申請することができます。
ただし、その分は将来年金を受け取る際減額されてしまうので、落ち着いたら追納することも考えましょう。
☞ 詳しい所得水準や申請方法について:日本年金機構ホームページ
まとめ
失業してしまった場合、後から納付するものには何があるのかを事前に確認しておくことをおすすめします。
今のところ就業の見込みが立たない人は、上記の猶予・免除制度を活用してお金が出ていくことを防ぎ、生活を守ることが必要不可欠です。困ったらすぐに窓口へ相談しましょう。
(※本ページに記載されている情報は2020年9月3日時点のものです)